当社は伊藤忠系シンクタンクの社内ベンチャー制度で1999年にできた会社です。社内ベンチャーの会社ってあまりないと思いますので、少し紹介させて下さい。
私が15年ほどリサーチャーとして働いていたCRC総合研究所は、伊藤忠商事や第一勧業銀行が主な株主で、科学技術計算、情報システム、シンクタンクを主な事業とする会社でした。設立は1958年と古くて、最初は伊藤忠電子計算という社名でした。
従業員は1,000人ほどで、2002年には東証1部になりました。そして、2006年に兄弟会社の伊藤忠テクノサイエンスと合併して、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)という会社になっています。
リサーチは労働集約的で、業務が個人のノウハウに依存するし、なかなか生産性向上が図りにくい仕事です。情報システムなどと比べると収益性が低く、大会社の経費を負担すると利益が出すのが難しいという課題がありました。
また、担当役員はリサーチなどやったことのない元商社マンとか、元銀行マンが3年おきに変わります。ある時に会社の方針で、50人の組織を一気に120人位まで拡大したのを切っ掛けに、大きな赤字部門になってしまいました。
しかし、現場には全く危機意識がありません。親会社があるし、大赤字の原因も親会社から来た役員がやったことでしし、赤字でもシンクタンク部門はなくならないと思い込んでいました。何とか黒字にしようという機運もなく、大きな赤字は続きました。
それから数年後に新しい社長が伊藤忠商事から来て、「集中と選択」、「IT事業に特化する」という経営方針が出されて、シンクタンク部門はリストラされることになりました。
シンクタンク部門で働いていた100人ほどの社員は、社内異動や退職や解雇で、あっという間にバラバラになり、その当時はA社長は本当に酷いことをする経営者だと思ったものです。
でも、その後、A社長と直接接する機会もでき、自分も会社を経営する立場になって考えると、上場企業の社長としては適切な経営判断だったと思いますし、ずいぶんと悩み苦んだのだろうと思います。
リサーチの仕事は「生活者の声をしっかり市場に反映させる」、「国民や住民の意見を行政に反映させる」という重要な社会的役割があります。
そして、リサーチャーは、社会の先端の情報に触れることができ、お客様の課題解決に係わることができ、自分のノウハウや創意工夫、熱意でよい仕事ができる。面白くて遣り甲斐のある仕事です。
しかし、個業の集まりで規模の効率化が働きにくいため、大きな会社が取組むには難しいフィールドだったのかもしれません。
〇伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の沿革
http://www.ctc-g.co.jp/corporate/history.html
〇マイボイスコム http://www.myvoice.co.jp/
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