以前の様に数百万円の費用と2、3ヵ月の時間がかかれば、お客様も慎重になり、リサーチ会社とも十分な調整を行ってから実査を行っていました。
しかし、今のネットリサーチの早さと安さだと、「取り合えず、早くやってみようという調査」が増えてしまうのかもしれません。
そして、お客様の方で「取り合えず早くやってみた調査」に対して、「何となく意思決定には使えない結果だなあ」、「何となく満足できないサービスだなあ」、と感じてきているようです。
この3年ほどはリーマンショック後の不況で、MR予算が大幅にカットされた企業が沢山ありました。調査予算は減っても調べたいテーマはなかなか減らせませんので、リサーチ会社の選定で「まずはコスト削減」になったのは当然の流れだったと思います。
「マーケティングリサーチの現状調査」ではリサーチ会社選定の重視項目も聞いています。
2008年度の調査では、「コストの低減」が06年36%→08年55%(19%↑)と大幅に上がってトップになり、それまで1位だった「リサーチャーの優秀さ」が06年46%→08年36%(12%↓)、「調査結果の分析力」が06年40%→08年28%(12%↓)、と質より価格に大きく振れました。
それが、今回の2010年の調査では、「コストの低減」、「リサーチャーの優秀さ」、「調査結果の分析力」の3項目が62~67%でほぼ横並びになりました。
2010年から設問形式が変わったため、2008年の調査結果と単純に比較はできませんが、2008年は「コストの低減」が「リサーチャーの優秀さ」の1.53倍もありましたので、「コスト重視」から「クオリティ重視」にクライアント様のベクトルが戻ってきたと推察できます。
この様なお客様のニーズの変化に、ネットリサーチ会社がどう応えていくか、そのことがMRとネットリサーチの今後に大きく影響してくるでしょう。
お客様のベクトルがクオリティ重視に動いて来た今こそが、ネットリサーチ業界としてクオリティ改善に動くチャンスのようにも感じています。