小さな会社のスタートアップで1番大切なことは何だと思いますか。それは間違いなく販売力があるかどうかだと思います。
マイボイスコムは資本金3千万円でスタートしましたが、会社設立にかかるもろもろの費用やシステム投資で700万円位は直ぐになくなりました。人件費やオフィス代などの固定費を考えると半年ちょっとで残りの資本金はなくなります。
その間で仕事を取って納品し、売上を立てて、入金しないと半年後には確実にキャッシュがなくなります。会社のスタートアップって大体こんな感じで、いきなり追い込まれた状態で始まるものなのでしょう。
私が営業で懸念したのは、「マイボイスコム」という誰も知らない会社で、「ネットリサーチ」という訳の分からない商品で果たしてアポが取れるのか、果たして真面目に話を聞いてくれるのかということでした。
これまで働いていたCRC総合研究所は社歴が40年以上もあって、社員が千人もいる会社でしたが、知名度が低くてなかなか新しいお客様のアポが取れませんでした。そのためいつも「伊藤忠商事や第一勧業銀行系列のシンクタンクです。」と親会社の信用で営業をせざるを得ませんでした。
それが先ほど出来たばかりの会社です。社員は3人です。まだ実績はありませんが、インターネットでマーケティングリサーチができる様になりました。貴社のマーケティングのお役に立つと思うのでお時間を下さい。と言ってもアポなんて取れないだとうな、と考えていました。
でも色々なつてで紹介をもらったり、電話での新規開拓もやってみたら、意外に皆さん会ってくれるし、ちゃんと話も聞いてくれました。日本社会はビジネスに関してはそんなに閉鎖的ではなく、新しい価値を作って、熱意を持ってお願いすれば、意外に皆さん真面目に聞いてくれるようです。
「伊藤忠商事や第一勧業銀行系列のシンクタンクです。」と言っていた時よりも、「インターネットでリサーチをする会社のマイボイスコムと申します。」という方がアポはずっとスムーズで、新しいお客様も開拓できました。
1999年というとインターネット人口は1千万人ほどで、まだ「ネットリサーチ」という言葉もありませんでした。でもインターネットで生活者の声が集められる、迅速に市場分析ができることに対する興味、関心は高かったのかもしれません。